国際学術誌『Biomedical Journal of Scientific & Technical Research』に、アルツハイマー病治療の症例と腸内細菌叢の関係性についての当社とお茶の水健康長寿クリニックの共同研究論文が掲載されました


アルツハイマー病(AD)のサイトカインによる神経再生治療の症例報告
-症例から示唆されるADの進行と腸内細菌叢の関連-


アルツハイマー病(AD)は進行性の神経変性疾患であり、根治的な治療法は未だ確立されていません。お茶の水健康長寿クリニックでは、APOE ε4/ε4対立遺伝子(ADの最も強い遺伝的危険因子)を持つ70代の女性AD患者に対し、残存する神経幹細胞を再生させるためにサイトカインによる神経再生治療を行いました。その結果、萎縮した海馬の再生が観察され、認知機能の改善につながりました。また、当社と共同で患者の腸内細菌叢の解析を行ったところ、本症例の患者の腸内細菌叢に軽度認知障害(MCI)患者特有の腸内細菌叢異常がある程度認められましたが(図1)、他のMCI患者よりも軽度であることが判明し、それがAD病態の進行を抑制した可能性があることが明らかとなりました。

当社とお茶の水健康長寿クリニックを含む共同研究グループでは、先行してMCIに関連する腸内細菌叢の異常(dysbiosis)について研究を行い、成果を論文として報告しております(詳しくはこちらのリンク先をご覧ください)。今回の症例についての報告は、この先行研究の成果を活用したものとなります。本論文の治療症例は、AD治療に光明をもたらすとともに、腸内細菌叢の状態がADの進行に影響を及ぼすことを示唆するものといえます。

本研究成果は、国際学術誌『Biomedical Journal of Scientific & Technical Research』(2023年7月26日付)に掲載されました。

https://biomedres.us/pdfs/BJSTR.MS.ID.008159.pdf


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