20代・30代の低体重女性では腸内細菌叢の多様性が低く、炎症に関係する菌が多いことが明らかに
－20-39歳の若年女性80名の腸内細菌叢を調査－

掲載誌	国際学術誌 『Nutrients』（2025年10月28日付掲載）
研究グループ	シンバイオシス・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長 増山 博昭 同上　研究開発本部 大熊 佳奈・山田 雅子 藤田医科大学　飯塚 勝美・成瀬 寛之・和田 理紗子・後田 ちひろ・出口 香奈子・平岩 衣里
プレスリリース	本研究に関するプレスリリースはこちら（PDF）

当社は、腸内細菌叢と疾病の関連性に関する研究と、腸内細菌叢の改善を介した疾病の予防・改善方法に関する研究・開発に取り組んでいます。この度、藤田医科大学との共同研究により、低体重の20代・30代の日本人女性が正常体重の女性と比較して、腸内細菌叢の多様性が有意に低く、腸内炎症との関連が示唆される特定の分類群が豊富に存在していることを発見し、低体重の女性に対する腸内細菌叢をターゲットとした臨床的介入による改善の可能性を見出しました。

低体重の若年女性は月経障害や骨密度の減少など、様々な健康リスクに脆弱であることが知られています。若年女性の低体重には食習慣や腸内細菌叢の変化が関与すると考えられていますが、実態は不明でした。

本研究では、20代・30代の低体重女性と正常体重女性に対して、食事調査とともに腸内細菌叢検査を行いました。低体重群と正常体重群の若年の日本人女性を比較した結果、食事の多様性には両群間で有意な差がありませんでしたが、腸内細菌叢の多様性には違いが見られ、特に低体重群では、Bacteroides、Enterocloster、Erysipelatoclostridiumなどの腸内炎症傾向に関連するとされる特定の分類群が豊富に存在していました。

図1：食事および腸内細菌叢のα多様性

低体重群と正常体重群の(A)食事の多様性および(B)腸内細菌の多様性を示す。
赤色は低体重群、青色は正常体重群を示す。

図2：各群に特徴的な腸内細菌

x軸は効果量、y軸はウィルコクソン順位和検定による偽発見率（FDR）調整p値の–log10値を表した火山図。赤枠は低体重群に有意に多く存在した分類群を、青枠は正常体重群に多く存在した）分類群を示す。

本研究の成果は、若年女性の低体重が腸内細菌叢と密接に関連していることを示唆しており、食事指導に加え、腸内細菌叢をターゲットとした低体重治療のための新たな臨床的介入方法の開発につながると期待されます。