国際学術誌『Biomedicines』に非結核性抗酸菌症関連肺疾患の患者における腸内細菌叢の異常に関する当社の論文が掲載されました

非結核性抗酸菌症関連肺疾患の日本人女性における腸内細菌叢の異常を解明
-長期的な抗菌薬治療が腸内細菌叢に影響-

当社は、腸内細菌叢と疾病の関連性に関する研究と、腸内細菌叢の改善を介した疾病の予防・改善方法に関する研究・開発に取り組んでいます。この度、日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野との共同研究により、日本人女性の非結核性抗酸菌症関連肺疾患(以下、NTM-PD)の患者群の腸内細菌叢の特徴から同疾患に関連する腸内細菌叢の異常(dysbiosis)を解明し、抗菌薬を用いた治療が腸内細菌叢の異常を固定化している可能性を発見しました。

NTM-PDの治療は複数の抗菌薬を用いた長期の治療を必要としますが、治療後も再発または再感染率が高いことが報告されています。一方で、NTM-PDの発症・進行のメカニズムについてはいまだ完全には解明されておらず、その解明が急務となっています。
本研究では、NTM-PDの治療前、治療中および再発の3つのグループ(以下、治療前群、治療中群、再発群)に分けてNTM-PDと腸内細菌叢の関連性を調査し、抗菌薬を用いた治療が腸内細菌叢の構成にどのような影響をおよぼすかを明らかにしました。
その結果、抗菌薬を用いた治療が、腸内細菌叢のさらなる異常を引き起こすだけでなく、変化した腸内細菌叢の構成を長期的に固定化し、それが治療後のNTM-PDの再発に関連する可能性が示唆されました。
この結果は、日常的に腸内細菌叢を良好な状態に保つことがNTM-PDの有効な予防策になることを示唆しています。そのため、腸内細菌叢の状態を定期的に検査し、必要に応じて食生活等を介した腸内細菌叢の改善に取り組むことがNTM-PDのリスク回避につながると考えられます。

本研究の成果は、NTM-PDの発症・進行のメカニズムの理解、腸内細菌叢をターゲットとする新たなNTM-PDの予防・治療方法の開発につながることが期待されます。

本研究成果は、国際学術誌『Biomedicines』(2025年5月21日付)に掲載されました。
https://www.mdpi.com/2227-9059/13/5/1264

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