動植物は細菌との共生総体

細菌は地球上のあらゆるところに生息しています。地上の土壌中や湖沼・河川の水中はいうまでもなく、地下数千メートルの深部、水深1万メートルの海底、果ては上空数千メートルにも存在しています。

人類がアクセス可能な地球上のあらゆる環境に生息しており、人工的に作り出さない限り、細菌の存在しない状態はないといっても良いでしょう。

このように、細菌はあらゆるところに生息していますが、その密度がもっとも高いのは、植物の根とその周辺数ミリの土壌(根圏)と動物の腸内です。

わずか1gの根圏の土壌には100~1,000億個の細菌が存在しており、ヒトの大腸の内容物にも1gあたり1,000億個以上の細菌が存在しています。このことから、ヒトの腸内に存在する腸内細菌の総数は100兆個以上でその総重量は1㎏を超えると考えられています。

しかも、その膨大な数におよぶ腸内細菌は、優に1,000種を超える多様な種の細菌で構成されており、その半数以上は培養が困難なため、その生態がいまだよく分らない未知の菌群です。

このように膨大な数の多様な細菌によって構成された複雑な生態系が、ひとりひとりの腸内に存在し、ヒトには消化できない食物繊維などを分解し、その代謝産物としてヒトに有益な成分を供給するという共生関係を形成しています。

この共生関係は、植物の根圏で形成されている植物と細菌の共生関係と基本的には同様のものであり、動物は腸の内壁に植物の根と同様の機能を持つ構造をつくり、そこに共生細菌を定着させることによって、自己の生息環境から得られる食物から生命維持に必要なさまざまな成分を確保することができるよう共進化してきたと考えられます。

このように異なる生物(植物と細菌、動物と細菌など)が共生関係を形成し、不可分なひとつの集合体(共生総体:Holobiont)をなしていることが明らかになりつつあります。

わたしたちのからだは膨大な数の細菌をはじめとする微生物との共生総体であることを正しく認識することが、疾病の予防や体調の改善のための第一歩であると言ってよいでしょう。