腸内細菌DNA自動抽出装置とは

腸内細菌叢の分析を行うためには、大便検体から腸内細菌のDNAを抽出する必要があります。

大便の60~80%は水分で、残りのおよそ半分が新陳代謝によって腸の内壁から剥がれた細胞(胃腸の細胞は約5日間で新しい細胞に入れ替わります)、残りの3分の1が腸内細菌とその死骸であり、未消化の食物残滓(ざんし)は全体のわずか5%ほどにすぎません。

このため、採便ブラシを使って採取したごく微量(数㎎)の大便の中には数千万個から数億個の腸内細菌とその死骸が含まれています。この腸内細菌の細胞内に存在するDNAを抽出するためには、最初に細菌の細胞壁を破砕または溶解する必要があります。

細菌の細胞壁の構造や強度は菌の種類によって異なっているため、菌種によってDNAの抽出効率が異なり、抽出されるDNAに偏りが生じてしまいます。

特に、腸内細菌叢の構成を分析するためには、厚くて硬い細胞壁を持っているビフィズス菌などのグラム陽性細菌からDNAを抽出する必要があるため、当社ではさまざまな細菌の細胞壁を効率よく破壊するビーズ破砕法を採用しています。

ビーズ破砕法とは、腸内細菌を含む大便検体の懸濁液に1ミリに満たない微小の硬いビーズを混ぜたうえで、1分間に数千回という高速で振とうさせることによって、懸濁液に含まれる腸内細菌を粉々に破砕し、細胞内のDNAを懸濁液中に取り出す方法です。

懸濁液には、目的のDNA以外にタンパク質などが含まれているため、それらを分離するための薬品を加えて、1分間に1万回転以上の高速で遠心分離を行い、DNAが含まれる上清液(上澄み液)のみを取り出します。取り出された上清液に溶けているDNAを回収するため、さらに薬品を加えて、複数回の遠心分離を行うことによって検査に使用できるDNAを抽出することができます。

当社の腸内細菌DNA自動抽出装置は、この複雑な工程を全て自動で行うことができる装置で、最大96検体のDNA抽出処理を同時に実行することが可能です。

当社は、この装置を用いることによって、腸内細菌叢の解析結果に大きな影響を及ぼすDNA抽出のばらつきを防止し、安定的で高品質の腸内細菌叢の検査・分析を実現しています。